6BM8プッシュプル差動アンプ

 

大げさでなく、小型で音の良いプッシュプルが欲しかった

このアンプというか差動アンプは、「部品による音の差」を越えた物だと思います。

 

特性表を追加しました 2006.11.18

回路図を載せました 2006.11.18

たたき台 2006.11.16

先に報告です。 メインのページにも書きましたが、差動アンプは電源のコンデンサが小さくても立派な特性になります。
しかし、特性と「鳴らす」は別です。 本機も平滑コンデンサは47μ×2程度ですが、 少なくとも680μくらいにはして下さい。
出てくる音はかなり改善されます。 (2013.01)


先のシングルアンプで久しぶりにコテを握り、勢いづいて作ったのがこれ、6BM8プッシュプルです。
TU870の改造と同じ、「ペルケさん」のページにあった物です。

シングルに比べて、プッシュプル(以後PP)は位相反転、出力段の調整などが必要となり、シングルに比べて、敷居がたかいのです。 以前使っていた6CA10がバイアスが不安定でしたので、DCバランスが鬼門でした。 6BM8は安定しているようだし、回路図を見ましても、上と下のシングルがくっついているだけだよと、自分に言い聞かせて始めました

ちょうど、6BM8は2本あるし、以後の面倒を見るのはこれだけにしたかったし。
6CA7あたりは、入手安易、低価格もいいのですが、4本ですとヒーターだけで40Wと発熱が大きく、おおげさで「花屋」の作業場には不向きです。 出力は先の6BM8シングルでもいけるので、6BM8ppの2W程度は十分と予測できますし、複合管で4本で構成でき、省エネ、省電力が魅力です。

回路図は、「菊池さん」の物と足して2で割ったものですが、「ぺるけさん」の物になるべく近づけるようにしました。

構想
1.音の評価をするためにほぼ同じ回路構成にする。
2.金属加工用の工具が無いので「木工」です。 省スペースの「煙突型」にしました。
3.部品は通販で取り寄せます。
4.測定器は使わず、デジタルテスターのみで行こう(後日追加変更となった)


【制作編

回路の作成、ついで「部品」の剪定、注文から始めます。
トランス、真空管、ソケット、コンデンサなど、注文先はバラバラです。
ついで、地元のパーツ屋さんで抵抗、スイッチなどを買ってきます。
このころからヤフオクで6BM8を買いあさります。 いろんな球が入りおもしろいですが、今は止めてます。
上京したおりに神田でも買い込みました。 「駅から遠いほど安い」が原則です

トランスは「東栄03-3255-6589」で、型式が判らなくても、要点を伝えれば「代引き」で送ってくれます。
その他パーツは「エレショップ共立」でネットショッピングです。
「ソケット」「真空管」はヤフオクで調達です。  
秋葉原に買いに行ける方がうらやましいゾ


部品がそろうと、並べてみましょう。
だいたいの大きさが見えてきます。 アバウトで大きさを決めます。

球を並べてみて、間隔を決めます。60mmにしました。 予備のソケットを一つ分予定しましたが、デザインの都合で「取り付け穴」だけです。
木のシャーシは、加工が楽です。 トランスの取り付けも「木ねじ」でモミ込んでいけばいいし、「金くず」はでません。

【欠点】は木の厚みがあります。 スイッチ、端子などは薄手のシャーシを仮想しているため、取り付けにくい事があります。 でもそこは「その厚さまでえぐってしまえばいい」ので、「彫刻刀」で解決します。

「ぺるけさん」のHPにありましたように、出力トランスの誘導ハムを聞きながら、トランスの配置、間隔を決めましょう。 やはり電源トランスからは6cmは離したいです。

さあ、トランスの取り付け、100Vの配線後、セオリーにありました「ヒーター」のテストをしましょう。
電源回路のトラブルは影響(ダメージ)が大きいので、ワンステップ毎にチェックした方がよいです

木を切り出して、ケースを造り、塗装をしている間に、ラグ板の部品の配置、配線を決めます。 これを書き出しておいて、実体配線図とします。
ソケットと縦ラグ板を使った「空中配線」もありますが、平ラグ板を使った方が、配置が考えやすいため配線のミスが出にくく、測定、変更も楽です。

ケースは手持ちの木材を使いました。最悪、真空管を追加できるようにスペースを空けましたが、やはり配線した後は動かせませんです。
ラグ板に作るとまでいくと、構想はできたような物です、あとはガンプラと同じ感じでサクサクと進みます。

半分できたところで、通電チェックしましょう。 電源と回路の確認ができます。 これでOKなら、あと、同じでやればいいです。


《写真群》 DCバイアスのチェック、調整中 とヤフオクで買ったいろいろなメーカーの6BM8、手前から東芝、松下、EH

何事もなく組立、無事音出し。 これでOKです。  v(^^
ところが、バイアスの調整で、入力VRを回すと、定電流が変動するのに気が付きました「どうも発振しているのではないか?」症状がでました。
やいやいです  (TT
( これで テスター一丁での姿勢は吹き飛び、SG、オシロの購入と深みにはまっていきます、幸い? ヤフオクで格安が買えましたので、気を良くしてもう一歩づつ深みに・・・ノイズ計(フィルター付き電子電圧計)も買ってしまった テスターを含め合計2万円なり)


オシロで見ますと発振は150KHzほどで、初段で発生してました。初段のプレートを8pFで落として、帯域を狭くしてなんとか逃げました。

歪率の測定ができず、悩んでいましたが、「トランジスタ技術8月号(2006)」にFEPの特集があり、ここにパソを使った歪率測定器ソフトがでていましたので、ありがたく使わせていただきました。


特性表回路図 》  このページの後ろに別図にしました


近くのホームセンターでデジタルテスター(三和PM3)を私物では初めて買いました。3000円でお釣りがきました

 電圧、抵抗値、周波数しか計れませんが、小型ながらも、オートレンジですので使い勝手はかなり良いです。 AC電圧、周波数も9Hzから9KHzまで計れますのでSGの周波数、レベルの校正にも使えます。 CP比はかなり高いと思います。 おすすめの小物の一つです
 もう一つ、電池がCR2032リチウム電池で、HP200LXのお下がりが使えるのも、大きな理由です。

 

 

 

 

【出てきた音は
当家の近代的ではないユニットのALTEC、JBLとも相性はよく、しっかりと鳴らします。
先のTU870改」と同様に、中域が張り出して、それ以上に立ち上がりがすごく良いです。特に定位の良さは抜群で、音のセパレーションがよく、今まで大きな音に隠れていた小さい音も拾い出します。 低音の量感が小さくなったのは気のせいか?
中域があまり張り出すと、耳が疲れやすのですが、それはないですね。 

自作の悪い癖であれやこれやといじり回していると、だんだん音が判らなくなってきます。
とくに、作業場は 花の入荷状況によりだいぶ残響が変わるので、ますます混乱します。
「手づくりアンプの会・全国大会」に持って行くつもりでしたので、自分でもやきもきしました。
結局は、一番いい(こんなものか)と思ったところで改造はやめました。
今もそれっきりにしていますが、「大会」でも良い評価を聞けたので納得も得心もしてこれでFIXにします。

【球の選定】
ペア合わせはいっさいしていません。 このアンプは、出力のDCバイアスの調整をしてしまうと、完了です。
球により若干動作点が変わります。これは歪率に現れますが、聴いてもわかりません。 ブランドの違いも私には判りません
でも、RCAとかシルバニアあたりは色刷り印刷がかっこいいなあ、とあこがれます、たぶん音はかわらンでしょうが、
このアンプというか差動アンプは、「部品による音の差」を越えた物だと思います。 「ぺるけさん」のアンプはシングルもこの思いは同じです。

気が付きましたが、シンプルなだけに「動作点」により「鳴り方」が大きく変わります。 これは各自、お楽しみください



完成したアンプ2景とストックの花束、よく見ると、左ch松下、右chNECです


 

回路図  クリックすると 元図に代わります

 


 

特性図

  6BM8pp全段差動アンプの特性表への解説 H18年10月23日

平成18年10月21,22日に行われた「手づくりアンプの会・全国大会」にて測定していただい試作1号機のデータです。
以前に、自分で測定したデータと比較して、ほぼ同じ値が得られました。


ここでは測器は「松下製 VP7722A オーディオアナライザー」、8オーム巻き線抵抗器を使って⇒GPIB+パソ+エクセルで行いました。
当日の電源電圧は108Vですので出力は騰がってます。

結果は F上端は40KHz(−3dB)で当社は45KHz
下限は VPが10Hz限度のため、途中で終わっている
左右chの違いは「製作者の性格」をあらわす (苦笑

出力は 3.5W(AC108V時) AC100Vの時は 2.5W 程度になります。

測定は「きん@品川=高間さん」のご協力です。 高間さんありがとうございました。

1.周波数特性

 

2.ダンピングファクター

 

3.入出力図

4.歪率
左chはEH新品、ペアとはうたってないが、2本同時に買った物です。
右chは写真と同様の NECのヤフオク中古品です、時期をずらして買ったので1本は「松下」に酷似しています

 

5.ノイズとセパレーション

左:1.2mv 右:0.2mv  ...球の新旧には比例しません、動作点のバランスと思われます

セパレーション 上のノイズの範囲が測定限界になります −70dBは取れています

測定は トリオ社ノイズメーターのフラットで測定しました

 

6.その後は

アンプの出来は上々です。 とても気に入っています。 となると 多くの方にもお勧めしたいと思いました。

今回 製作してみて 静岡などの地方都市では部品を集めるのに、汎用の部品はパーツ屋さんでそろいますが、耐電圧が高い物、真空管アンプで使う部品は無く、通販に頼ることとなります。 これらは実際に手にすることも見ることも無く、えいやっと注文するしかありません。 しかも、一カ所ではそろわず、数カ所で手配しなければなりません 。   あ〜ぁ これは かなり敷居が高くなり、めんどうで やる気をそぎます。 そこで、これを なんとかできないかと思い

1.プリント基板を使ってキットを作ろう  ⇒ そうだ 差動アンプのキットを作ろう

2.キットにこだわらず、その基板を使ってこんな風にできる ⇒  6BM8,14GW8(PCL86), 差動アンプ プリント基板を使ってアンプを作ってみよう

3.基板と部品だけでも販売しよう  ⇒  真空管アンプの基板販売 6BM8,14GW8(PCL86)を使った2段差動アンプのキットに使っている プリント基板の単品販売です。

となりました。 おかげさまで 多くの方の 賛同を頂き、少しは 思いがかなったかなと ・・・・


【感謝とお礼】
このアンプを製作する機会を与えてくれた方々、製作を助けていただいた方々へ 「ありがとうございました」