真空管式ステレオパワーアンプ
全2段式差動プッシュプルアンプ 組立説明書



                                                       2007.07.15



この度は、「6BM8差動アンプキットV1.1」をご選択頂ありがとうございます。
■概要
・6BM8(電力増幅用5極管を3極管として使用しています+電圧増幅用3極管が1本に入った複合管です)を使った、最小限の構成の2段式差動ステレオアンプです。 A級動作のため出力は3W+3Wと小さくなってます。
・入力は通常のRCAピンが1系統ありますので、CD、ミニコンポなどにつないで使用できます。
・プリント基板の採用により組み立ても容易になっています。
・特殊な部品は使用せず、交換用パーツも入手が容易なようにして、長期にわたってメンテナンスができ、ご愛用できるようにしました。
・ケースは木製で部屋の調度品としても違和感が無く、追加工も容易にしました。ケースは好みがいかせるように表面の研磨まではしてあり、無塗装としてあります。

■目次
・ご注意およびお願い。
・工作に必要な工具。
・パーツリスト
・基板の組立。
・部品の取り付け、配線、ケース組立、動作チェック、使い方。
・回路図
・保証

■ご注意およびお願い
安全にお使いいただけるため、製作の前に「組立説明書(この書類です)」をよく読み、説明書に従って正しく製作を行ってください。
・作業場を用意ください。
・作業机上には部品に水がかからないように、飲食物は置かないでください。
・組立は、付属の作業用段ボール箱の中、上で行うようにしてください。 部品を無くさないよう、キズが付かないようにしてください。
・半田付けなど、高温となる作業がありますので、小さな子供の近くでは作業はしないようにしてください。
・真空管はかなり高熱となりますので、手袋をしようして、素手では触らぬようにしてください。
・アンプを使用するときも、通気口をふさがないようにしてください。
・カバーの上には何も置かないようにしてください。

■工作に必要な工具
・半田こて(15〜30w)
・半田こて台
・ニッパー
・ラジオペンチもしくはプライヤー
・+、−ドライバー
・カッターナイフ
・テスター
あればよい物として
・ドライヤー
・キリ

■パーツリスト
・ケース
背板
左右側板
前板
Lアングル固定用板 2枚
ゴム足 4個
アクリルカバー
底板(パンチング板)

・真空管 4本

・電源トランス 1個
・出力トランス 2個

・ACケーブル
・ACケーブルブッシュ
・ヒューズホルダー
・ヒューズカバー
・ミニチュアヒューズ
・電源スイッチ

・アルミLアングル 2本
・スペーサー 12個

・10KΩ2連ボリウム
・ツマミ
・RCA入力端子
・出力端子 赤2個、黒2個

・ネジ M3−10 12本
・木ネジ 3.5×25 14本
・木ネジ 4×12 6本
・木ネジ 3×12 7本
・木ねじ 3×16 6本
・木ねじ 3×8  6本
・トラス 4×12 2本
・M3ナット 2個
・M4平ワッシャー 2枚

・プリント基板
・抵抗(小さい物)
100K(茶黒黄金) 4本
2K  (赤黒赤金) 4本
470K(黄紫黄金) 5本
22  (赤赤黒金) 1本
中くらいのもの
100 (茶黒茶金) 6本
22   (赤赤茶金)2本
820 (灰赤茶金) 2本

酸化金属被膜抵抗
100K(茶黒黄金) 4本
5.1 (緑茶金金) 4本
82         1本

・電解コンデンサー
100μ/350V  4本
2200μ/25V  1本

・タンタルコンデンサ
1μ/25V     1本

・フィルムコンデンサー
0.47(0.33) 4本

・セラミックコンデンサー
5P         2個
0.1μ(104)  2個

・真空管ソケット 4個
・ダイオード 5本
・LM317T 2個
・7905 1個
・L型放熱板 2個
・半固定ボリウム 2個
・CRD(定電流ダイオード) 2本

・電線
シールド線 180cm     信号線用
黒(0.3sq) 120cm     シールド線接続用

太い黄(0.5sq) 60cm      AC200V
赤(細0.3sq) 120cm    ヒーター、+B
白(細0.3sq) 50cm     ヒーター

太い青(0.5sq) 30cm      スピーカー端子用
太い緑(0.5sq)30cm      スピーカー単子用

青(0.3sq)30cm       P2
橙 (0.3sq)30cm       P1
茶 (0.3sq)30cm       P4
白(灰)(0.3sq) 30cm    P3
・熱収縮チューブ φ5 20cm

 


■基板の組立
・部品は全てシルク印刷のある面に行います。
・高さの低い物から半田付けしていきます。

・部品の足はパターンに合わせてゆったりと曲げてください。

★取り付けない部品 R15,R45,Q1,Q2,R24は何も付けません。 そのままにしておきます。

◇組立順序
・ジャンパー線の取り付け   R16,R17、R46,R47にジャンパー線(緑色の電線)を半田付けします。
・抵抗の取り付け
1/4W
R1、R31、R5,R35 100K(
R12,14,R42,44 2K
R13,R43 100Ω
※ R4,R6,R34,R36 470K

金属皮膜
R11,R41 22Ω

1/2W
R9,R10,R39,R40 100Ω
R23 470K
R21,R22 820

酸化金属皮膜
R7,R8,R37,R38 5.1Ω
R2,R3,R32,R33 100K
R20 82Ω



・ダイオード 5本
図・ダイオードの向きの見方
図・CRD(D3,D4)の向きの見方



・半固定抵抗 VR2,VR3 とIC3(7905)

下の絵のように、指で落ちないように押さます。 一気に半田付けすると傾いて付いてしまうときがあるので、先にどこか一カ所を半田付けしてから傾きを見て、残りを半田付けします。

・真空管ソケット パターンに合わせて足を拡げ、曲げます。 そのまま半田付けすると傾いて固定され、修復は難しいので、先に3カ所(たとえば1,4,9ピン)を仮止めして傾きを修正します。 その後ちゃんと全ての足を半田付けします。
い。

・コンデンサを付けます。電解コンデンサ、タンタルコンデンサは極性がありますから、シルク印刷と合わせてくださ

★電解コンデンサは上図のようにマイナス側に白い帯があります、足も短いです。タンタルコンデンサは「+」表示が付いるほうがプラスです。
紛らわしいので、注意してください。

 


・IC1、2(LM317T)の足を曲げ、放熱板といっしょにネジ止めしてから、半田付けします。
 放熱板が他の部品、パターンに接触しないようにしてください。


・ヒーターの配線をします。 今まで半田付けしていた面(部品と反対側)のV2のA3とV1のA3をつなぎます同様にV3,V4も同じように配線します、A4も同様にします。



■配線
始めに
シールド線の処理方法
シールド線は、中心に信号線、周囲がシールドのための編組線になってます。このまま配線すると、扱いにくく、危険なので、この編組線を1本の電線にします。
サンプルを見てください
加工方法
外側の皮を良く切れるカーターで切れ込み、はぎ取ります。
シールドを押し込み、スキマを作り、そのスキマから信号線を引っぱり出します。
信号線と分かれたシールド線と他の電線を半田付けします。余分なシールド線は切ります。
これで、信号線とGND線の2本にできました。
熱収縮チューブを半田付けした部分を覆うようにかぶせ、ドライヤーで熱し縮めます。
ドライヤーが無い場合は「半田こて」で軽くこすり縮めます。



・表面処理はしてあります、塗装は好みでやってください。 オイルフィニッシュ処理で良ければ巻末の■塗装をご覧ください

・組み立て用の段ボール箱の上で作業します。

◆ケースの塗装、組立
背板と左右の側板、前板を仮組みします。


基板を載せるLアングルの取り付け板を固定します。
Lアングルを固定します。
前板を除いて固定します。
前板は、配線のじゃまになるので外します。

・スピーカー用出力端子を付けます。

・入力の2連ボリウムにシールド線を半田付けします。

シールド線には「赤のマジック」で印を付けておくと、作業が楽になります。



・入力端子に2連ボリウムに半田付けしたシールド線をケースの穴を通して半田付け後、ネジ止めします
・出力トランスをネジ止めします。
・出力トランスの 0Ωを(黒)出力端子、8Ωを(赤)出力端子に配線します。
・出力トランスに 補償抵抗 22Ωと0.1μセラミックコンデンサを半田付けします。+/−の向きはありません。



・ACケーブルをブッシュを通してケースに付けます。 通したケーブルが引っ張られて抜けないように1回しばって玉を作ってください。

 

・電源トランスをネジ止めします。
・ヒューズ、電源スイッチに配線します。
・配線後、ヒューズホルダーをネジ止めし、ヒューズ、カバーを付けます。

・前板にカバー止めネジを2カ所つけます。


・前板に電源スイッチ、入力ボリウムを取り付けてから、前板をケースに組み立てます。

・基板へ配線します。
電源トランスのAC200V黄色線をA1,A2へ接続します。

電源トランスのAC6.3V赤白線をA3,A4へ接続します。



★ ここは特に重要なところです、確認に確認を重ねてください。

入力ボリウムからの左入力シールド線をLinとGNDへ
右入力のシールド線をRinとGNDへ半田付けします。 inとGんDを間違えますと音が出ません

出力トランスのP2,B、P1を基板の+B、P2,P1,P4,P3へ半田付けします。



フィードバック信号を 左出力端子からLNF、GNDへ 右出力端子からRNF,GNDへ半田付けします。


・基板の固定
Lアングルのネジ穴にカラーを置き、基板を置いてから、全てのM3ネジをあてがってからネジ止めします。

★ さて、これで配線は終了です、このあとは動作チェックになります。 一息ついてから、今までの作業の再度チェックをしてください。

■動作チェック
では、部品の取り付けも配線もOKですね。 コンデンサ、ダイオードの向きは間違いがありませんね、ここが違っていると破裂することがあるので注意してください。

では テスターを用意します、AC電圧をチェックします
・真空管を差さないで、ACコンセントに電源ケーブルを差し込んでから、電源スイッチをオンにします。
・A3,A4の電圧はAC7V程度ですか(真空管を差してないので6.3Vより高めにでます)
・A1,A2の電圧はAC200V程度ですか?
・異臭、煙は出ませんか?

電源を切りましょう。
★10分位は、コンデンサに電圧が残っているので放電するまで置いておきましょう

・真空管をV1,V2の2カ所に差します。 一番最初はそけっとのピンがなじんでいないので、差込は硬いです。
ゆっくりとやってください。
・入力信号、スピーカを接続してください。
・電源スイッチをオンにします。
30秒ほどでヒーターが赤くなります。
異臭、煙、異音はありませんか? その場合は電源を切り、配線を見直しましょう
入力ボリウムをいずれかに回すとスピーカーから音が出ます。
おめでとうございます 配線に間違えはありませんでした。
・一度、電源を切り、V3,V4にも真空管を差し込みます。

★この場合は真空管が付いていたのでコンデンサはすぐ放電してしまいますので、すぐに次の作業に移ってもかまいません。
・同様に音出しのチェックをします。

★ トラブル ★ 音が出ない

・ヒーターが赤くならない
     1.ACケーブルはコンセントに刺さってますか?
     2.電源スイッチはオンになっている
     3.配線を見直しましょう

・ヒーターが赤くなっても音が出ない
     1.入力信号は入ってますか?
     2.スピーカーはつないでありますか?
     3.ボリウムを回してみましょう
     4.これでだめなら配線をうたがいましょう ( シールド線の信号線とGNDが間違ってつないであると音はでませんよ )

・ピーギャーと音が出る場合は、フィードバックのシールド線の配線が違っています。
プリント基板−出力トランス、出力トランス−スピーカー端子、の配線を見直してください。

★放熱板と抵抗は熱くなります。
R20,R2,R3,R32,R33は熱くなりますし、高電圧がかかってます。電源が入った状態で触らないようにしてください。

 


◆ 無事、音が出たら、出力段のDCバランス調整を行います。
DCバランス:1つのトランスを2本の真空管で駆動しています。この2本の真空管の電流を同じくらいにして、出力トランスに無用のアンバランス電流が流れないようにします。

・入力信号を切ります
テスターをDCmVを計れるようにします。テスターのリード端子の先に「付属品・クリップ付き端子」を付け、図のようにR’、R8に接続します。 電源をオンして1分位してから R8,R7の電圧がゼロに近くなるように、VR2を小型マイナスドライバーで回します。数mV程度で調整できれば「良」としましょう。もし、調整しきれない場合は、V1とV2の真空管を差し替えてください。 このときは電源を切り、まだ真空管は熱いので素手で触らないようにします。

同様にR38,R37、VR3も調整します。



★この電圧差は数mV程度であればかまいません。 どうしても気になる場合は、一度大きくずらして、その効果を耳で納得してください。
・使いだして1週間ほどしてから、あまりずれていないことを確認ください。

・電源を切ってから、入力ボリウムのツマミを付けます。

 

 

・ゴム足を付けます
・底板を付けます
底に、底板をあてがい、ネジ位置を6カ所決め、マークを付けます。マーク位置に軽くキリを当ててから、ネジ止めします。

・カバーを取り付けましょう。背板の4×12はカバーの取り外しが容易なように少しゆるめにしておきます。

■もし、お手伝いが必要な場合は、有償になりますが、精一杯やらせていただきますのでご一報ください。
〒422−8043
静岡県静岡市中田本町46−6 花裕(ハナユウ)電話・FAX(054)284−2155
ひまわり@hanayuu.com



■塗装の方法(オイルフィニッシュ)
クルミオイルを刷り込むことで木目を活かした自然な処理となります。
生クルミをウエスに包み、てるてる坊主を作ります。 坊主を板に押し当てこすりつけます。 クルミがつぶれて、オイルがしみ出しまし、木目にしみこみます。 



これは 6BM8を使った、小型のオーディオ用のアンプの組立説明書です。 まだまだ、いたらぬ点も多々ありますがみなさんの、意見とか気が付いた時に順次直していきますので、応援してください

〒422−8043
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注) メールアドレスは迷惑メール対策のため、たまに変更しますので、面倒ですが、ホームページのアドレスをご覧ください。


回路図(フルサイズはこちらから)

 

■ 部品実装写真

 

<上写真1> 電源の電解コンデンサと整流ダイオードの向きに注目、C2コンデンサーは変更する事があります。

<上写真2> V1、V2周辺、LM317の取り付け方法、R16,R17のジャンパー線処理

<上写真3> 

<上 写真4> R47,R46のジャンパー線とLM317の取り付け方法

 

 

<上 写真5> 7905と電解コンデンサの取り付け、右上のC29=タンタルコンデンサの向きに注意

 

 

 

 

 

ごらんいただきありがうございました。